私たちが孕むのは、子どもだけじゃない。
働くこと、子を産むこと、育てること、いのちを守ること
過酷な時代に 今もまだ私たちは生きている
本作は、出産を経験し0歳を育児中の俳優 相馬有紀実が、自身のようにキャリアと子育てに悩む人々の背中を押したいと考え、企画・主演・プロデュースを担う映画制作プロジェクト。
物語には「幼児閉じ込め事件における、本当の責任の所在」もおり混ぜ、社会的なメッセージを内包した上質なサスペンスドラマを目指します。
あらすじ
専業主婦の乾 亜湖は、35歳。母親3年目。
365日、愛する子どもと2人きりの家。
幸せで満たされるはずのその場所で、いつしか息ができなくなっていた。
そんなある日、高校の同級生である真山 郁美と再会する。
有名な夫を持ち、広告会社でキャリア構築真っ最中の郁美。
予期せぬ妊娠してしまったことを、子ども嫌いな夫に言えずにいた。
互いの痛みに吸い寄せられるように、再会した2人。
亜湖から郁美へ、郁美から亜湖へ。
互いのSOSが、初めて届いたとき。
2人は、どこかで歪んでしまった“幸せ”を取り戻そうと走りだす。
わたしたちなりの“幸せ”まであと少し―――。
そんな2人の前に立ちはだかる悲劇。
「あっちゃんはさ、子供産んでよかった?」
「いっちゃんは……産むの?」
女として、妻として、母として、人間として、
2人が辿り着く“幸せ”とは……。
監督
中嶋駿介
1987年富山県生まれ。東京造形大学大学院にて諏訪敦彦監督に師事。 2012年よりCMディレクターとしてナショナルクライアントのTVCMやWebCM、ヒップホップユニットCreepy NutsのMV等を手掛ける。映画作品では”痛み”を描き、中編『Share the Pain』(2020)が池袋シネマ・ロサにて劇場公開。 短編『うなぞこのいえ』(2022)が第35回 東京国際映画祭に正式出品された。 【コメント】 この映画では、"孕む”という重要な出来事を、絶対的当事者である女性キャラクターだけでなく、男性キャラクターにも向き合わせています。それは肉体的な苦痛を伴う疑似体験のようであったり、より精神的なものだったりと、様々な形で描かれます。僕はその”痛みの共有”こそが、夫婦間の相互理解を生み、この映画の望むゴールである、よりよい家族になるための一助になるのではと考えています。
企画・W主演(乾 亜湖役)・プロデュース
相馬有紀実
青森出身。『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』早乙女唯役で初レギュラー出演し、NHK『高校講座2.0』のレポーターに抜擢。以降、出演作として映画『キッズリターン再会の時』(清水浩監督)あゆ役、映画『愚行録』(石川慶監督)中山唯役、映画『Arc~アーク』 (石川慶監督)美和役、TVドラマ『ハコヅメ』など。他、 JR東日本『MY FIRST AOMORI』のナレーションや、10年以上務める「ちふれ化粧品」のサウンドロゴなど、幅広く活動している。24年には映画『じょっぱり 看護の人花田ミキ』(五十嵐匠監督)など公開作を控える。俳優ワークショップ等を企画する団体、ふぇろーずの代表。 【コメント】 この映画を作っている期間、私は妊活・妊娠・出産・育児を経験しています。 仕事人間の私が19年俳優をしてきて感じたこと、母になるまで、そして母になり感じたこと。 考え方や生活、ものの見方、時間の使い方が180°変わりました。 現実の厳しさ。理想。壁。心がいくつあっても足りないと何度泣いたことか。 でもこの映画を届けたい。 その想いをもって全力で取り組んでいます。 この作品が誰かの考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。 そして力になると信じています。
W主演(真山 郁美役)
瀬戸かほ
1993年11月11日生まれ。神奈川県出身。 2015年に映画『orange -オレンジ-』でデビュー。映画、舞台、ウェブドラマで女優として活躍し、ミュージックビデオへの出演も多数。映画『リビングの女王』では第6回賢島映画祭にて助演女優賞受賞。近年の劇場公開作として、『この日々が凪いだら』(常間地裕監督/2021年)、『クレマチスの窓辺』(永岡俊幸監督/2020年)、『神様のいるところ』(鈴木冴監督/2019年)、『ストレージマン』(萬野達郎監督/2022年)がある。原案・プロデュース・主演を務める短編映画「きまぐれ」が2024年3月15日より東京・シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」ほか全国で順次劇場上映される。 【コメント】 先日、母になった友人と会いました。 とても楽しかったけど彼女の子供の話を聞いているときに、わたしたちは別の世界にいて、彼女の気持ちに寄り添うことはできても本当の意味で理解することは今の私にはできないのだと感じました。 母として生きる彼女はまぶしかったです。 仕事・子供・人生と、考えるのを先延ば しにしていたことが身近にあるタイミングで、この作品に関われることに感謝して、精一杯向き合っていきます。
スケジュール
2024年 1月 脚本完成・パイロット版撮影
3月 ロケハン等準備
4月 リハーサル
5月 本編撮影
6月 仕上げ・完成・映画祭応募
8-9月 初号試写
2025年 劇場公開予定
今この作品をやりたい理由
この企画を考え始めた2022年末、私は35歳。
いつか子どもは欲しいと思っていましたが、もう高齢出産の年齢でした。
今決断すれば子どもを持つことができるかもしれない。
しかし一方で、これまでと変わらず仕事を続けたいという気持ちや、
今まで築き上げた居場所が誰かに奪われてしまうかもしれないという焦りが消えませんでした。
そんな葛藤に悩みながら、この作品の土台を作り上げていきました。
2023年6月、私は出産しました。
我が子を抱きながら、幼い子どもが炎天下の車の中で閉じ込められて、
亡くなってしまったというニュースに、ふと思いました。
私だって、この事件の当事者になりうるのではないだろうか?
育児は予想の出来ないことの連続です。
自分では完璧にやろうとしても、状況がそうさせてくれないことも多いです。
夫も色々とやってくれるし、周囲の人々の助けもありますが、
タイミングが合わないこともあります。
それらの要素が全て悪い方向に転んでしまったら・・・。
この閉じ込め事件は脚本を作っていく過程でも、
監督や脚本家、プロデューサー達と、様々な議論がありました。
生半可な気持ちで扱えるモチーフではないからです。
この作品の登場人物達は事件を通じて、育てることの責任に対して、命に対して向き合います。
この作品に、俳優人生をかけて、覚悟をもったからこそ届けたいのです。
希望の種として世界に届けたいです。
企画・主演・プロデュース 相馬有紀実